「相模湾沿岸海岸侵食対策計画策定」実現までの道のり

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第2回海を愛する政治家フォーラムにて、相模湾沿岸におけなぎさつくりの取り組みについて、と題して「相模湾沿岸海岸侵食対策計画策定」実現までの道のりを、神奈川県議議員の近藤大輔氏に発表して頂きました。

以下、近藤大輔議員より

先日、パシフィコ横浜「インタースタイル2018」にて国際環境NGOサーフライダーファウンデーションジャパンが主催する「海を愛する政治家フォーラム」で課題提起とファシリテーターの大役をいただきました。行政や政治と対立するのではなく、いかに理解を深めて海岸環境を守るのかというサーフライダーの考え方に敬意を表します。

とりも直さず、県議である私に課題提起の演壇を任せてくれるのだから力も入ります。当日は30枚以上のスライドを使っての提起でしたが、数枚にまとめ報告します。テーマは、「今の海の姿は変えられる!」であり、コンクリートに囲まれた日本の海岸をどうしたら美しい自然の姿に戻せるのかというものでした。

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私から提起したのは、長者ヶ崎と久留和漁港に挟まれた秋谷海岸であったサーファーがスティクホルダーとなり、漁師や住民とともに県計画を変更させた活動についてです。

皆さん、今から15年前に秋谷海岸の沖合いに240mと180mもの離岸堤(コンクリートバー)が建設されようとしていたのをご存知でしたか。浜砂の供給源である山を道路でふさいだために1970年代から最大25mも海岸線が後退し、日頃の海岸利用ができなくなり、高波が護岸を打ちつけ、ついにH14年の台風21号により国道134号が崩落する惨事にまで発展してしまいました。

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海岸管理者の神奈川県が対策として立案したのが、巨大なコンクリートバーを2つ秋谷海岸に建設するものでした。同地は、海中に磯根がひろがる豊かな漁場であるとともにサーフポイントでもありました。コンクリートの巨大構造物を海に建設すれば、自然の恵である海岸海中環境は激変することを誰もが理解しながらも惨事のあとでしたから口をつぐんでしまいました。

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その時に、自然と生活と道をも守る計画に変更すべきだと声を上げたのが、サーファーを中心とした「横須賀葉山の海を守る会」スカ海の仲間たちでした。当時、私は逗子の市議会議員でしたが、スカ海につながりのある仲間も多く、活動を共にするようになりました。計画変更を求める署名集めは、多くの協力者が集まり漫画の「美味しんぼ」でも取り上げられるなど、いかに環境保全と後背地の防護を両立するのか注目されました。

結果県は、計画の検討委員会にサーファーなど利用者の意見も計画に反映する必要があると判断し、委員会にスカ海など利用者を加え「保全計画協議会」を立上げ、再検討を行うことになりました。

その後、平成15年度から18年度にかけて10回にわたる協議会で議論を重ねた結果、漁場・海岸利用・景観を考慮して、沖合いにコンクリート構造物を建設することなく、消波効果のある浜を復元と安定させるために、国内ではほとんど前例がなかった、レキ(小石)による養浜を行うことになりました。

時の知事は、松沢しげふみ知事。一度決めた行政計画が見直されることはなかなかありません。また個別事業で知事が対応することはほとんどないなかにあって署名受理とサーファーたちとの面談にも対応してくれた知事の英断があって今の秋谷海岸があります。

私は、このこともありH19年に県議選(逗子市葉山町選挙区)に出馬し初当選させていただきました。県議会においても相模湾の海岸保全について何度も取り上げ、H23年度には全国初となるコンクリート等の構造物による海岸保全ではなく、砂浜復元を中心とした「相模湾沿岸海岸侵食対策計画」の策定を実現しました。

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神奈川県が調査した、昭和20年代と平成20年頃を比較した相模湾沿岸における海岸線の変化状況をみると、藤沢市を除く12市町において40m前後、海岸線が後退し、侵食が進行しています。海岸線だけでなく河川護岸やダムや砂防対策の見直しをも含めた総合的な対策を施す必要があると私は考えます。

侵食対策計画は、同上の考え方を取り入れたものでもあります。秋谷海岸は一つの事例で、H25年度までの養浜により延長1200mの浜が復元され浜幅も17mまで回復。30年に1度発生する確率の高波も防護できるとしています。昨年10月23日に関東地方付近を通過した、台風21号は平塚沖の波浪観測所においてS54年からの観測史上最大となる波の高さを観測しましたが、レキ養浜による効果で後背地への被害はなく、現在は写真のとおり砂浜は安定しています。(海岸線にあるレストランの一階倉庫にはレキが入り込みご迷惑をおかけしました。)

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レキ養浜は、沖に流出はあまりしないものの、沿岸方向にどんどん移動していきます。砂浜同様に浜を保つには維持管理が非常に重要です。県は、限りある財源ではあるものの溜まった砂やレキを移動させる、サンドサイクルを行うなど維持管理を行っています。

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自然を改変し私たちが生活するなかにあって浜の維持管理はやり続けなければなりません。秋谷の事例は、反対だけでなく対案を求め続けたスカ海の活動の賜物であり、SFJ同様に行政と真摯に向き合ったから実現したと考えます。同時にコンクリートに囲まれた海岸を考えるにあたって一つの参考にしていただければと思います。

神奈川県議会議員 近藤 大輔