今いちばん日本にあって欲しいモノ

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写真にある天然色に富んだパノラマは、ロサンゼルス中心部から1時間半ほど南下したソルトクリークビーチパークでのぞむことができる。

雲ひとつない青い空、空よりも青が濃い太平洋、白波が打ち寄せるベージュ色の砂浜、きれいに整備された緑の芝生。人工的な匂いが少ない景色のなかを、様々な年齢のサーファーはビーチへ急ぎ、近隣に住む人たちは散歩や芝生での昼寝を楽しんでいる。

先頃、ひさびさに訪れて見た光景は、初めて訪れた18年前と変わらなかった。つまり、海での時間が暮らしを彩ることを、このビーチパークを訪れる人は知っているのだ。

なにより、地域住民の声により誕生したという歴史が、海での時間を大切にする意識の高さを物語る。

風光明媚なビーチタウン、ダナ・ポイントにあるソルトクリークは地方行政組織オレンジ・カウンティ(群)の管理下にあるが、現在の状況に至った背景には市民運動があった。1960年代、私企業が宅地開発用に現ビーチパークの土地を購入したことに対し、地域住民を中心とした“セイブ・ソルトクリーク”運動が発生。その帰結として、同カウンティが買い取ったのである。

カリフォルニアにおける快適なビーチパークはソルトクリークだけではない。オレゴンとの州境からメキシコ国境に至るまで州の沿岸に点在。すべてにおいて市民運動の有無は定かでないものの、ビーチパークの存在は、海との距離が近い生活模様があることを教えてくれる。

ところが日本の海のこのようなビーチパークはほとんどない。湘南にしろ千葉にしろ、休日をつかって家族や友達と向かい、気軽に1日を過ごせるビーチはどれほどあるだろう。駐車場は高い。ビーチに無料のシャワーはない。天然芝生が敷き詰められたビーチパークはもってのほか。言い換えれば、海を感じてゴロリと寝転がったり、みんなでバーベキューをしたり、という休日を過ごせる機会に乏しいのである。

今はオリンピック種目にサーフィンが候補となる時代。それほど社会的な認知度が高まっているのだから、海の環境を整えたいという声を発するいい機会のように思える。

大切なのは、サーファーだけの居場所ではなく、海が好きという多くの人が憩える場所にすること。

しかも日本のコーストラインはカリフォルニアのそれよりも長い。海はより身近であっても良いのだから、あとは海で気軽に楽しみたいという人の輪をつくっていくことが、とても大切なことなのである。

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