第四回「海を愛する政治家フォーラム」

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写真左から、藤沢市議会議員の佐賀ワキ氏、大磯町議会議員の岡みゆき氏、社会学者の⻄田亮介氏、平塚市議会議員の数田俊樹氏、全員サーファーだ

2024年11月4日、藤沢市鵠沼海岸のサーフビレッジにて、SFJ主催「カーニバル湘南」が開催されまし た。その中で注目を集めたのが、4回目となる海を愛する政治家フォーラム”SURF2050VISION”と題した討論会。サーフィン文化が根付く湘南地域ならではの取り組みとして、地元議員たちが集まり、海洋環境について熱く議論を交わしました。

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予定時間を超えて 1 時間 20 分にも及び熱を帯びた討論会。時には冗談も混じり終始なごやかな雰囲気だった

 討論会には、藤沢市議会議員の佐賀ワキ氏、平塚市議会議員の数田俊樹氏、大磯町議会議員の岡みゆき氏が登壇。ファシリテーターを務めたのは、社会学者でサーフカルチャーの研究者でもある日本大学危機管理学部大学院教授の⻄田亮介氏です。

 佐賀ワキ氏は「サーファーは政治に無関心」という固定観念を打破するため、全国のサーファー議員たちをネットワーク化。「海水が汚い」「サーフィンのフィールドが減っている」といった切実な声を形にするためには、政治家が現場での経験をもとに課題を共有し、政策提言を行うことが重要だと語りました。佐賀氏はユニークな選挙活動でも知られています。SUP(スタンドアップパドル)やサーフボードを活用し、地域住⺠との距離を縮めながら海の現状を伝える姿勢は、多くの人々に支持されています。

 数田俊樹氏は「横のつながり」の重要性を強調。地元である平塚をはじめ、藤沢や大磯といった湘南地域では、海岸浸食はまだ深刻な状況ではないが、全国、世界を見れば喫緊の社会課題であり、その課題に向き合っていく必要があります。これを解決するには、自治体間の連携だけでなく、神奈川県への要望や協力が欠かせません。「現場を知ることが解決の鍵」と語る数田氏は、サーフィン中に堤防の劣化や海流の変化を発見し、地元の行政と協力して対策を講じています。こうした地道な活動が、地域全体の環境改善につながっているのです。

 岡みゆき氏は、ゴミ問題における意識改革の必要性を説きました。現在、海岸に漂着するゴミの約8割は街のゴミが川から流れてきたものとされています。特に、マイクロプラスチックが海洋生物に与える影響は深刻です。岡氏はゴミの収集だけでなく、環境意識を高めるための情報発信や、海のゴミに特化した「海箱」の設置など、具体的な行動を推進しています。これにより、海岸利用者や地域住⺠の間で、海を守るための共通認識が育まれています。
 この大磯町のビーチへの「海箱」の設置には他の両議員をはじめ、オーディエンスも興味津々の様子で、活発な質疑応答が行われました。

 討論会の最後には浅尾慶一郎環境大臣がゲストスピーカーとして登場。会場のオーディエンスの若者の多さに驚きながら、「サーキュラーエコノミー」という概念を提言。リサイクルさの大切さも踏まえつつ、その過程で消費するエネルギーをセーブするためにリユース、古いものをもう一度使う文化を根付かせていければと、若い世代のオーディエンスに呼びかけました。

 政治家とサーファー、一見関係のないような存在ですが、環境保護という目的むかって相乗効果を生み出しています。海を愛する政治家たちとサーファーの新しい挑戦は、波のように広がり、やがて日本全体の環境意識を変える力になるかもしれません。

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ゲストスピーカーの浅尾慶一郎環境大臣。神奈川県選出ということもあり海の環境問題にも敏感だった

執筆者  
カーニバル湘南協賛企業2024